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Number 81
Usaatoにかかわる、ひと・もの・こと vol.13 高見明美さん
自分で洗濯できる、というのはUsaatoの服の魅力のひとつでもあるが、クリーニング店に出した仕上がりにしたい時もある。
ドライクリーニング以外で、お客様にご提案できることは無いのだろうかと探していた時に出会ったのが、『クリーニングハウス ムー』と、その店主である高見明美さんだ。
「クリーニングで何か困ったことがあったら、この人にと思った。」とは、出会ったスタッフの談。
以来、スタッフの間で個人的にクリーニング品をお願いするなど、お世話になっている。
『クリーニングハウス ムー』は、兵庫県加西市にある全品水洗いのクリーニング店だ。
石けん・とうもろこし糊などの食材、そして活性化された水の力で手仕上げされるクリーニングを求めて、全国各地から宅急便でクリーニング品が送られてくる。
個性的な店名だと思い、由来を聞くと
「何となく、女性受けしそうな響きだなっていうのと、文明が栄え過ぎて滅んだムー大陸の過ちを繰り返さない、という想いを込めて名付けました。」
と話してくれた。
高見さんはご両親がクリーニング業を営む姿を間近で見ながら育った。
成り行きでクリーニング業を始めることになったのは、すでにご両親は引退した後。
それでも、幼い頃から見てきた仕事であることは大きく、3人の子供を育てながら必死でこなす。
その頃は、一般的なドライクリーニングをメインにしたお店だった。
その頃のお店の、命ともいうべきドライ機を捨て、全品水洗いに切り替えたのは、1996年のこと。
予期せずも、お店の名前を「クリーニングハウス ムー」に改めた約1年半後のことだった。
業界的には”水洗い”は”利益は薄いがお客様へのサービスでする特売品”のようなもの。
かかる手間も、必要な技術も、ドライクリーニングとは比べ物にならず、とてもではないが採算は取れないと、周りからは止められた。
勝算があって始めたことではない。
それでも、高見さんは安心・安全なクリーニングを求めて突き進んだ。
「私個人としては、”ああ、そっちは茨の道だなあ、大変だなあ”と感じていても、そちらを選んで進んでしまう。
まるで何者かに”これをやりなさい”と導かれているようでした。
”これをしなければならない”という、強い気持ちに突き動かされていましたね。
クリーニング業を営む人には、癌で亡くなる人が異常に多いんです。
ほとんどのクリーニング店がメインで扱うドライクリーニングってどんな風にするかご存知ですか?
水を一滴も使わず、石油や有機塩素系化合物で出来たドライ液という溶剤に漬けて洗うんです。これは人体に悪影響を及ぼす危険性のある液体です。
お客様に「ご家庭で、洗濯機に灯油をためて、じゃぶじゃぶお洗濯されますか?」と聞くと「絶対にしない」と答える方ばかり。
ではなぜ、クリーニングに出すのはOKなのか?
クリーニング業界で働く人の身体はどうなるのか?
危険であると知りつつ、止めることが出来ないのは、クリーニングをする側に水洗いの生産性と技術が無いという問題が大きくあります。
全品水洗いの工程を確立し、生産性を上げることが業界を変えることになると考え、研究所を立ち上げました。」
一時は20人ほどを抱える大所帯で、大手企業からの依頼や、カナダの環境庁をはじめ、見学を受け入れるなど幅広く活動していたが、”消費者が声を上げない限り、何も変わらない”と気付いた。
現在は研究所を閉め、一般の人に向けて安心・安全な洗濯の技術を伝える講座を主宰している。
(想いを伝えるために、言葉を磨かなければ!とラジオのパーソナリティーやTVレポーターをした経験もあるそう!)
また、研究所時代を経て培った技術と生産性を持って、クリーニングハウス ムーでのクリーニング品の受け入れも一人で続けている。
「クリーニングの依頼はお電話で、とお客様にはお願いしています。どんな人が、どんな洗い上がりにして欲しいのかを、できるだけ相手のエネルギーや状態と一緒に知りたいから。」
近年、ご自身が化学物質過敏症を発症された高見さん。
化学物質過敏症に苦しむ人がいることの社会的な認知を広げるための発信をすること。
そういった人達が明日着ることができる一枚を作ること。
それが、今自分にできることだと言う。
「”本当のサービスって何だろう?”と考えた時に、私の答えは”お客様の命をお守りできること”。
アトピー性皮膚炎や、化学物質過敏症のお客様は年々増えていています。
毎日洗われる自分の衣類に付着した洗剤の残りが原因で、慢性的な不調に悩まされても、子供であれば、そのことに気付くことも出来ないのです。
お母さんが合成洗剤や柔軟剤の危険性と、安心安全なお洗濯の方法を知っていれば、助かる子供がたくさんいます。
私がクリーニングしても良いんですが、私の体はひとつですから。
ひとりひとりが自分でお洗濯を出来ることを目指して、個人への発信をすると共に、そういったお客様へのご対応を相談してくる同業者へも応えたい。
ただ、やはり安心・安全なクリーニングは小手先のことでは出来ないので。
覚悟を持って取り組んでいただけるなら、と考えています。」
今回は、取材と共に高見さんの主宰する『昔に学ぶ お洗濯講座』を受講した。
その際に、トウモロコシ糊による糊付けを、特別にUsaatoの服を用いてさせてもらった。
(※糊付けする前に、高見さんの指導の元で洗っています。)
【before】
2年前に購入し10月頃から春先まで、ほとんど毎日着用し、トータルで5〜6回自宅で洗濯(手洗い)、アイロンがけしたコート。
Usaatoの服は、はじめはコメ糊が効いているのだが、繰り返し着て洗う度に糊は落ちてゆく。
だんだんとくったりと肌馴染みが良くなるのも魅力なのだが、これはスタンドカラーのコート。
襟は立っていて欲しいし、もう少しピシリと着たい・・・
と思い、少し強めに糊付けする方法と、アイロンかけのコツを教わりながら仕上げた。
【after】
ピシリ!!
と、このコートの形が生きる雰囲気に仕上がったと思うのだが、いかがだろうか。
これは、目からウロコが落ちるような体験だった。
トウモロコシ糊も、着て洗ってするうちに落ちてくるとは思うのだが、自分で風合いよく洗い上げ、糊付けをしてアイロン仕上げをすることができるなら、
「だんだんと、良く言えばくったり、悪く言えばくたびれてきたなあ・・・」
と思っていた、クローゼットに眠るUsaatoの服たちを、再び新鮮な気持ちで着ることができるかもしれない。
それはとてもわくわくすることだ。
ひとつひとつの工程で、高見さんが「どんな風に仕上げたいですか?」「触ってみてどうですか?」と確認しながら進めてくださったのが印象的だった。
自宅で試みる際にも、一枚一枚の服の違いを感じながら、どう仕上げたいかをイメージしながら、やってみようと思う。
最後に、今後Usaatoに求めることを聞いてみた。
「これっていう事はないですが・・・笑
肌触りも良いし、良いお洋服を作られているなと思います。
このまま続けてください、と思いますね。」
【重湯・・・?いえいえ、美味しそう(?)に炊かれたトウモロコシ糊です。】
化学物質過敏症になったクリーニング屋さんの日々の出来事ブログ
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