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Number 43
Usaatoにかかわる、ひと・もの・こと vol.6 金子史佳さん
Usaatoオンラインショップのモデルは
主にUsaatoのスタッフが務めている。
もちろん、それまでモデルなどしたことがない人たちだ。
はじめは立ち方も仁王立ち、表情はガチガチ。
プロのモデルにお願いするのが
アパレルの世界においては定石なのかもしれない。
それでも、モニター越しでも
Usaatoの服をより親密に伝えることができるのは
日々この服に触れて、この服のことを考え
その向こう側にいる人へ届けようとしている自分たちだ。
そう信じて
”どうすればUsaatoの服の素敵さを
写真でお伝えできるか”
ボディメイクからヘアメイクまで
試行錯誤を繰り返している。
そんな中ご縁があり
金子史佳(かねこふみか)さんに
メイクレッスンをしてもらうことになった。
史佳さんは
雑誌やTV、CM、映画、イベント、コンサート、ブライダルと、さまざまな現場でメイクアップアーティストとして活動してきた。
現在は”本質的な輝きと美しさを引き出す”メイクとともに
”人生はエンターテインメントである”ことを伝えるエネルギーヒーラーでもある。
史佳さんのメイクは不思議だ。
毎日会っているスタッフが
レッスンを受けて帰ってきたとき
「キレイになったね!」「素敵!!」
そう思う以上に
その奥の気持ちが揺さぶられるような感じがする。
「ああ、知っていたなあ
この人がこういう魅力を持っているってこと。
でもそれが形になると、こういう感じになるのか!
どうして今まで見えなかったんだろう?」
そんな、どこか懐かしく
けれど新鮮な気持ち。
それは、本当に不思議と
Usaatoの服に袖を通したお客様を見て
感じることと良く似ている。
初めて見る姿のはずなのに
遠い記憶を見るような
またはその人の未来を見るような。
それが目の前で調和している様に
はっとするのだ。
芸能界でお仕事をしていた史佳さん。
その頃にプロとして求められていたのは、
ゴールの決まったメイクアップだった。
例えば青年誌のグラビアなら、
見る人が対象を自分のガールフレンドのように思えるナチュラルメイク。
ファッション誌なら衣装に合わせて、クールに、可愛く、または上品に。
着地点をあらかじめ決めて、迷わずにそこに向かっていけば良いだけだった。
「Usaatoのスタッフさんにメイクレッスンをする時には
私もゴールを決めず、終着点が分からずにやっています。
それは怖いことでもあるけれど、
好奇心と共にゆくワクワク感があります。
どうなるんだろう?どこへ向かうんだろうと
相手と作り上げてゆく感じ。
「この人と一緒に旅をしよう」という感覚。
その人の、引き出してみたい魅力
そのポイントに触れたいと思うんです。
良い意味で、仕上がりに毎回震えますね。」
Usaatoのスタッフの共通点は
日々Usaatoの服に触れている、それだけ。
嘘がつけなくなる服を着ている私たち。
史佳さんが自然体で
ひとつひとつ重ねてくれるメイクが
自分も知らない自分を引き出してゆく。
史佳さんはトランスジェンダーだ。
自身のセクシャルリティに対する問いかけは
より根源的な問いになってゆき
丸坊主にして、一切の化粧品もやめ
仕事も完全にメイクの世界から離れた時期がある。
ゴールの決まった仕事に興味が持てなくなった。
純粋に自分の肉体を使い、対価をいただく感覚を
忘れている気がして介護の仕事についた。
生きるための洋服・髪型・食事・仕事。
ハードコアなミニマリストの生活。
男とか女とか以前の、人間として極限に削ぎ落とした生活。
けれど、削ぎ落とせば削ぎ落とすほど
そうできないものがあることに気付いた。
自分は女性の肉体を持っているということ。
それは無いことにできるものではない。
「どこまで行っても、自分の肉体は女性。
ならば、
女性としての楽しみをやったらいいんだ!
と思ったんです。
お化粧も、お洒落もね。
ヴィーガンの食生活も
私には合わないことを認めて
肉を食べ出したら、女性らしく血色も良くなって。笑
削ぎ落とすことには限界があるし
私にとっては幸せなことではなかった。
”よし、私らしく生きよう”と決められたのは
私の女性の肉体を受け入れたから。」
どこか、目立たないようにと思い生きてきたが
「逃げも隠れもしない、金子史佳で生きる」と決めた。
自分は探すものじゃない。
作り上げていくものだという感覚に辿り着いた。
「自分はセクシャリティにおいて、マイノリティ。
言ってみれば極(きょく)にいる。
それを無いことにしていたこともあったからこそ
その自分を全てOKってすることについてすごく考えたし
人に対してもOK!
NGは無いんですよ!と居られる器でありたい。
たとえば、「可愛くなりたい」と言って
私のメイクセッションを受けてくださる方がいて
でも本当は、その人の「可愛くなる」をストップしているのは
本人だったりするんです。
私は
”それでも私はあなたの可愛い、をOKって思ってますよ”
をメイクにして
他者に受け入れられた体験を持ち帰って欲しい。
その時はダメでも、何かが未来につながって
広がることもあるかもしれないから。」
史佳さんはUsaatoの服を通過した人。
「今は着ていないですが
着ているときはとても安心感がありました。
でも、安心感がありながら、ただの癒しではなく
背中を押してもらえる服でしたね。」
最後に、
Usaatoに求めることはあるか聞いてみた。
「アクセサリー作って欲しいですね。
自然素材で!的なことではなくて
付け心地の話です。
Usaatoの服は
私には第一声が「気持ち良い!」感覚だったから、
そのバイブスのあるアクセサリー。
あったら素敵だなって思うんです。」
まだ見ぬものへの好奇心
それを素直に探究する在り方。
お話するうちに
史佳さんのメイクレッスンの
不思議の秘密が
少しだけ分かったような気がした。
Usaatoにかかわる、ひと・もの・こと
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